淡路島を一周する自転車イベント、関西では人気のあるこの「淡路島ロングライド150」が3年間のコロナ禍の為の中止を乗り越えて、ようやく4年振りで開催された。
前回私がこのイベントに出場したのは、70歳の時であった。そして、今回の出場は74歳で、間もなく75歳、後期高齢者となる。
この3年間の世の中全体の抑制的な雰囲気の中、いつの間にか自転車で山に登ることも避けてきたためなのか、脚力も随分落ちてきたのではと心配になってきた。
本当に150キロ位の距離を走れるか、上りだけの獲得標高(昇降合計)が六甲山の高さ以上程にもなるコースを登れるか、頭で考えると絶望的になるが、後期高齢者になる前に完走しておかないと、今後絶対に走れなくなるのではないかとの思いで出場を決意した。

9月18日(敬老の日:月曜日)早朝に会場駐車場に車を止め、自転車を下ろし身支度を整え、集合場所に行くと若い出場者がほとんどの中、スタート地点までの自転車を押してぞろぞろ歩くゆっくりとした行進が始まった。朝焼けの中、最後まで走り切れるのかなど不安も感じる反面、ようやくこのスタートの列に並んでいることのうれしさも強く感じた。
スタート地点は横5人×6列の計30人が並ぶための白枠の中に並び、「まもなくスタートします」「ピー」で一斉に走り出しました。
やっとスタートし公道を走り始めると、きりっと体が引き締まるような緊張感と今実際に走っているのだという感動的な喜び感はすごかった。
その後は期待と失望感が入り混じる一日が続いて、結果的に制限時間の40分程を残して、ようやくゴールし「完走証」をいただくことが出来ました。前回は2時間以上余裕があったのに!

さて、心の格闘はどのようなものであったか後のお楽しみとしておきましょう。

尚、以前使用の2013年に購入した「マドン5.2」は結構トラブルが多く色々交換したが、現在のものは購入後ほとんどトラブルが起きず、特に問題は感じていなかった。しかし、イベント出場に備え、ブレーキなどの各部品の点検と共に、BBのベアリング(分解で一部破損が発覚)やクランクも含め全交換、費用は4万5千円越えだったがこれで安心と納得。

②戦いの所持品「完走の為に用意した携帯品!」

A【過去2回経験した、足の「こむらがえり」発生時の対応策として!】
☆芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、足のこむらがえり対策として2回分(即効性)
☆食塩(100均の切手入れナイロン小袋に少量塩入)2回分を用意、第2の対応用として

B【エイドステーションで貰えるのは冷水のみ。塩分(ミネラル)・糖分、冷水への補給用!】
☆アクエリアス1ℓ用パウダー(2袋)(もちろん、どこのメーカーものでも良い)

C転倒時の出血対応、救急班が来るまでの措置用として!
☆滅菌パット(ⅬⅬタイプ4枚入り・35×50mm)

Dパンク時の対応用として!
☆修理工具・チューブ1本(パンクは修理ではなく、時間節約のためチューブごと交換用) 

Eバッテリー不足時の緊急対応用として!
☆小型の充電器とコードを持参、ガーミンの最小サイクルコンピューター130は今回のロングライドに使うには、バッテリーが10時間近くまで持たないため、途中から充電しながら走行できるように準備した。(以前ガーミンの820をつけていたが振動で落下し紛失。その後130に変更、小型なので殆ど振動によるダメージはなく、機能的にはこれで十分。通常使用ならこの方がベター。)

③戦いの練習「獲得標高1000m超えに対応するための最低の準備!」

大阪の箕面市に居を構えて50年を超える私にとって、箕面といえば「箕面の滝」、山といえば箕面山、家から10分で山道走行ができるという恵まれた条件である。
しかし、今年の夏は37~38°C等の異常な暑さ、「時間が出来たので走ろう」とはならず、むしろ熱中症の心配をし、山道などとんでもないというのが実情であった。
そのような中、ロングライド迄あと1週間強となって、「やばい、1年以上、山に登ってない。」と急に心配になり、9月10日過ぎから合計3回箕面山に登る機会を作った。
一回目は箕面ドライブウェイを登り始め、山麓線との分岐点手前で唯一の斜度が10度位、「キッツー! やばー!」思わず足をつき、さらに途中2回程自転車を押し、滝上の駐車場経由で箕面ダムに到着した。かつてはなんの問題もなく登っていたのに、かなり苦しく息が上がり脚力劣化を痛感した1回目でした。
数日後に2回目として勝尾寺経由でキリスタン大名、高山右近の生誕地の高山まで。3回目は1回目のルートで滝上駐車場まで登り、ヒルクライム練習を終了した。

この練習は脚力強化にはほとんど役に立たなかったものの、「しんどさ」の度合いが分かっただけでも収穫。その後、平地のちょっとした坂が比較で急に楽に思えたのはラッキーだ。

やっとスタートしたぞ! 緊張と喜びのペダリング開始。最初の食事補給場所、エイドステーション(以後ASで表示)迄の中間地点に唯一のトンネルがあり、そこを頂点とする緩い登り坂で早くも次々と抜かれ、気持ちは少しダウン。次に最初の洲本ASでは豚汁・おにぎり等を食べ、うまい!元気アップ。てきぱきと動き制限時間を考え、そそくさと出発。

再スタートして程なく最初の山道走行、平均斜度8度越えとのことだが、いきなり10度くらいの斜度があり、過去4回の出場時は特に厳しいとは思わなかったのに、きつい!苦しい! 事前の箕面山練習でも10度位で苦しかったので無理は出来ない、悔しいが長丁場を考え下手に脚力の使いすぎは危険だ。このように心の格闘が始まった。結果、きついところはさっと自転車を押し、少し緩くなると自転車に乗ることの繰り返しが始まった。

他の押しているチャリダーを見ると安心し、次々と抜いでゆく若者を見ては悔しがり、若者と競争してどうする、冷静に年を考えろと反省。更に同年齢らしき人に抜かれると、むくむくと闘争心が湧いてきたり、高齢者のいきりは見苦しいぞと反省したり、このような葛藤を繰り返しながら徐々に漕ぐのか、押すのかの判断がつくようになった。

その後のASでは竹輪・プリン・ソーメンなどをサッと食べ、貰った冷水に粉末のミネラル(塩分)・糖分を補給し、すぐにスタート。対岸に魚釣で有名な沼島が見える辺りを過ぎるころから、次々と現れる勾配が15度前後の激坂3か所、ここがこのコース最大の山場、ここを漕いだり押したりしながら、なんとかクリア。

終盤、残り30キロ位からお尻の痛さを感じ始めた為、やや重いギヤに切り替え、サドルに極力体重がかからないよう、ペダルに体重をかけながら走行。

最終盤、距離的にまもなくゴールと言う所で現れる、高速の入口に入る為の10度近い最後の坂。私を追い抜いて行った若者2人の会話「ここまで来て、こんな坂があんの!、きつ~!」、若者でも厳しいのだと思うと急に力が湧き、漕ぎきってクリアし、制限時間の午後4時45分を意識しながら、4時5分にゴールすることができた。

やっと完走証もらえたぞ、万歳。

今までのように2~3時間の余裕のゴールとはいかなかったものの、何とか制限時間内に完走できて良かった。60代後半の時、70歳で完走することが出来るかと随分心配をして出場したが何とかなった。今回も75歳を前に随分心配したが何とかなった。

とりあえず来年は後期高齢者初年となるので、今年の経験を生かしてクリアし、80歳での出場を目指せる足がかりが出来たことを素直に喜びたいと思う。

パソコンでエントリーすることから始まり、コンビニで出場料を支払い、出場のための機材を準備し、走行練習をし、前日に淡路島に車で渡り、受付を済ませゼッケン受け取り、当日の早朝に車で自転車を運び組み立てて整列する。これ等の全てをクリアして初めてスタートが可能となる。過去5回の出場経験が有ってこそ可能となった事。正に継続は宝なりである。

  • 1回目 2014年【65歳】特徴:臀部が痛くなり、最後の30km程、立ちこぎでやっと到着。到着時間の確認すら余裕がなかった。たぶん午後3時過ぎくらいだろう。
  • 2回目 2015年【66歳】特徴:振り返るとこの頃が自己最強で午後1時35分到着。(出場前に箕面山経由で妙見山、帰りは逆コースで戻る練習や六甲山も数回登る練習実施)
  • 3回目 2017年【68歳】特徴:途中、数回の「こむらがえり」発生、対応に苦慮。
    (NHKチャリダーの取材があり、タレント・俳優の「うじきつよし」、俳優の「猪野学」、淡路島出身のモデル・女優で三代目JSBの山下健次郎の妻となった「朝比奈彩」、元オリンピック選手の「竹谷賢二」が出場、途中の第一エイドステーションで遭遇。写真あり。)
  • 4回目 2019年【70歳】特徴:70歳の壁を越えられるか心配の出場、未だいけた。
    (一回のけいれん:こむらがえりが発生し、芍薬甘草湯を飲み解決、午後2時45分頃到着)
  • 5回目 2023年【74歳】特徴:5回目にして初の自転車の押し登り4回、こむらがえり一回、直ちに芍薬甘草湯を飲み解決。(午後4時5分到着で何とか制限時間をクリア)

自転車に乗る上での様々なアドバイス(例えば正しいペダリングの仕方等々)で色々な人がこれは良いと勧める場合があるが、何が正しいと言い切れることはほとんどなく、その人の脚力の変化でどんどん答えは変わるのが常である。いわば「最後まで自分にとって、何がベターかを探し求める旅人」のようなものであると考える。
私にとって自転車で走りに行くということは簡単ではない。平均して、週に2回走りに行くことがやっとである。1回の走行は、距離で50~60㎞位が多く、時間は3~5時間前後である。現在の自分にとって健康に役に立つサイクリングとして心掛けているのは、変に無理はしないこと。ペタリングの目標はケイデンス(一分間のペダルの回転数)60~75位で走り、心拍数は100~115位を目指している。以前はケイデンス90を目指していたがこの年では現実的ではなく、むしろ避ける方がよいと考えている。
そして、健康維持・脚力維持には何よりも継続することを重んじ、たまに変化をつけるために年に何度かは100km越えに挑戦をするようにしている。

これ等のサイクリングが体の健康に及ぼす素晴らしい側面と共に、更に大きなプラスの側面は心に及ぼす大きなプレゼントである。
62歳の時に散歩を始め、徐々に距離を伸ばし箕面から電車で梅田に行き、15キロ位を歩いて帰宅をしたりした時もあった。更に距離を増やせばもっと自由にどこにでも行けるとの思いから、最初はGIANTのクロスバイク(T字ハンドル)を購入した。
以前、車で出かけていた時は駐車場問題が大きな障害になり、見たいのに見られない等の悔しい思いをしたことが多々あった。
それに比べ散歩や自転車は好きなところでちょっと止まり確認ができ、じっくり見学もでき、時には階段を登って確認ができるなど、車ではできにくい素晴らしさがある。更に散歩に比べ自転車は格段にその行動範囲が広くなることが素晴らしく、心の開放に大いにプラスになっている。

2023年1月に大阪湾で発見されたマッコウクジラの「淀ちゃん」について、大きなニュースになったが、実物を見たいと思いませんでしたか。淀ちゃんが亡くなったその日、私は自転車で淀川右岸の突先にある矢倉公園に確認に行き、望遠鏡でやっとの思いで小さく見える淀ちゃんを確認した。近くにいた方が言うには、20分ほど前に潮を吹いたがその後は潮を吹いていないとのことだった。翌日、対岸に流れ着いていて、護岸の近くで見ることが出来るとの報道があったので、その場所を探して自転車で見学に行った。
水面から出ている部分は3割位だろうが、それでもかなりの迫力、背景に六甲山が見える不思議な情景に大いに感激を受けた。車では護岸が高いため全く見えず、徒歩でも簡単に行けず、自転車があって本当に良かったと思えた瞬間であった。このように興味関心がどんどん広がって行けることは、体の健康以上に素晴らしい心の豊かさをもたらします。

まさに、ロードバイク万歳 ですね!

  • 一般道路では当然左側白線付近(白線のすぐ右が基本)を極力まっすぐに走ること。これが安全走行の基本。そのためには条件が許せば練習として白線上から外れないように走る練習をしている。
  • 公道と歩道の小さな段差への移動には特に注意している。角度を付けて進入すること。小さな段差をナメルなである。
  • 雨の日の特に鉄の側溝の蓋などは想像を超えて、あっという間に転倒に結び付き易いので要注意。
  • ビィンディングペダル(スキーの靴の固定と同様な機構)は、見た目にはわかりにくい路面の突起で急に体が浮き、ペダルを踏み外し転倒することを避けてくれます。靴が外れず転倒する事もあるので一概に勧められないが、慣れればメリットは大きい。私も、随分悩んだが後悔はない。